12月24日、最高裁へ要請しました

 15回目となる最高裁への署名提出と要請を5人で行いました。今回は個人署名6,628筆、団体署名1筆を提出しました。累計は85,454筆となりました。(個人と団体の合計)
参加者からは次のような発言がありました。
・私は看護助手をしていたので、手術後の患者さんがせん妄を起こすことは、よくわかる。
意識が戻っても、正常の状態ではない。
・最高裁は証拠の取り扱いについて、科学に基づいて判断することを期待する。
・女性患者が言っていることが本当に起こりうる状況なのか。医療現場で起きたことを、その場にいた職員を信用しなければ、検証はできない。
・検察は飛沫の量を算出する際に、中国の論文を自分たちの都合がいいように引用しているが、計算の方法が科学的でなく数値にも誤りがある。
・11月16日の弁護団が行った記者レクチャーで、高野主任弁護人は何が事実なのかを明らかにして正しい報道をお願いしたいと述べた。デマや誤報道によって外科医師や家族は苦しんでいる。
 また今回は、判例時報2021年10月1日号と薬学雑誌2019年139 巻 5 月号に掲載された二つの資料を提出しました。 判例時報は最も読まれている法律雑誌の一つで、筆者は仮名ですが乳腺外科医事件を紹介する中で、東京高裁が最終判断に至らない程度の疑問を前提に、地裁判決の認定を非難したことを問題にしています。また残余資料の廃棄等について法律レベルで考慮することも検討に値するとしています。法律家の間でも高裁判決が問題にされているという事です。 薬学雑誌は創刊から140年目となる歴史のある学術誌で、石川県警の科捜研技官が「DNA型検査による個人識別」と題して捜査におけるDNA型鑑定の実際の方法を紹介し、鑑定に関わる者の心得として以下のようなことを述べています。

・第三者に信頼されることが前提で厳しく品質管理がされなければならない。
・資料を全量消費することは稀であり、再検査のため必要な資料を残さなければならない。
・法廷で求められたら検査内容に関しての根拠を提示し説明しなければならない。
・皮膚接触痕から得られるDNAは質・量にばらつきが大きいので、どのような資料から検出されるか画一的な見解は下せない。
 これらは弁護団の主張そのものであり、乳腺外科医事件の科捜研の鑑定は通常通りの取り扱いであり問題ないとする検察の主張とは大きくかけ離れています。論文では、「科捜研で行われるDNA鑑定は、警察庁の施設で所定の訓練を受け特別の資格を取得した者が実施し、資格取得後も一定の技術管理が行われ全国で統一されるよう品質管理が行われている」というのですから、石川県警も警視庁も品質管理に差はないと言えます。よって本事件の科捜研の鑑定は必要とされる基準を満たしていないという事が言えます。
 我国の刑事裁判は科学的な証拠よりも、裁判官が得た心象を重視して多くの冤罪を生んできました。 私たちは最高裁が外科医師の無罪判決を出すにとどまらず、科学的な証拠の取扱いついて一定の基準を 示すように求めています。それが叶えば、この裁判は歴史的に大きな意味があります。

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