1月21日 最高裁傍聴報告

 最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は1月21日、弁護側、検察側双方から意見を聞く口頭弁論をおこない結審しました。正確には公判という手続きですが、一般的にマスコミも弁論と呼んでいるので、そのままの用語を使用します。最近は傍聴者に事件の要旨を配ることもしているようですが、最高裁に問い合わせたところ、全部の事件ではなく、今回は配らないとの返事でした。
 弁論は、高裁の有罪判決を見直す際に必要な手続きです。最高裁で無罪判決が出る可能性があります。ここまでくることが出来たのは、弁護団の努力はもちろん、支援者の皆さんのおかげです。心より感謝申し上げます。わずか19席の一般傍聴席を得るために171人が並びました。寒い中、ありがとうございました。

弁護団の弁論の要旨
 弁護団はこれまでに上告趣意書、4通の補充書、各方面の第一線の専門家の意見書を提出しています。高野隆主任弁護人は12名の弁護団を代表して、以下のように意見を述べました。
科学捜査研究所の鑑定が科学の世界の作法・常識を一切無視して行われていること。検察側の精神科医が医学で用いられている診断基準を用いず、独自の説でせん妄を否定していることに対して、科学・医学を冒涜するもので証拠として採用してはならないとこと。STAP細胞の事件を例にだして、自分達がちゃんとやったと言っても第3者の検証に耐えなければ科学的な鑑定とは言えないこと。最高裁は一歩進んで足利事件で示した「科学的に信頼できる方法」とは何かを示すべきだと述べました。最後に、「不正義をただすのは最高裁の皆さんしかいない」と訴えて弁論を終えました。

検察側の弁論の要旨
 一方の検察は、女性の訴えが現実世界の出来事なのか、頭の中だけの幻覚なのか、現実の出来事であれば関係者の証言によって裏付けられると主張しました「女性の記億は鮮明であり、関係者の証言によって現実世界でおきた出来事であることが証明された。彼女はせん妄状態ですらなかった。彼女がせん妄であったかどうか、科捜研の鑑定が科学的かどうかは些末の問題だ。」と言い切りました。
この検察の主張は科学的にも誤りですし、高野弁護士が正さなければならない二つの大きな争点だと言った後に、都合が悪ければ些末の問題にして問題をすり替えようとする、心に響かない弁論でした。地裁で裁判が始まって6年目を迎えますが、検察官のせん妄についての理解は1ミリも進歩がないことがわかりました。

 なお、弁論終了後に近隣の施設で記者会見を兼ねた支援者向けの報告会を開催しました。感染対策上から同時にオンライン配信も行い、合計で約100名が参加しました。

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