上告趣意書学習会を開催

 11月27日、足立区勤労福祉会館(綾瀬プルミエ内)にて弁護団から2名の弁護士のご協力を頂き、上告趣意書学習会を開催しました。外科医師を守る会では、弁護団が11月10日に上告趣意書を提出したことをうけて、今後さらに外科医師への支援を広げるために、今回の学習会を企画しました。コロナ感染症対応のため、参加者数を制限して73名の参加でした。

 弁護団の黒岩弁護士は、主に上告趣意書の内容について説明されました。

 私たちは一審判決で無罪を勝ち取った。東京地裁の裁判官は保釈請求を却下するなど当初は被告に厳しかったが、病院関係者の証言は信用でき、女性患者の証言は麻酔覚醒時のせん妄の影響を受けていたと認定した。一審判決は100%納得できるものではないが、科学と道理に基づいて分析を重ね、無罪判決を勝ち取ったことに重みがある。

 一方で高裁判決は、道理と正義に反して、乱暴そのものである。上告趣意書は五つの項目に分かれている。

第1 無罪判決に対する検事控訴を認めたこと(憲法違反)

第2 科捜研鑑定を許容したこと(判例違反、憲法違反、著しく正義に反する法令違反)

第3 無罪判決を破棄したこと(判例違反)

第4 有罪の自判をしたこと(憲法違反、判例違反)

第5 無罪とすべき人を有罪としたこと(著しく正義に反する事実誤認)

上告趣意書の主体は第5です。以下は上告趣意書の最後の言葉です。

 「論理則」とか「経験則」とかいう言葉を繰り返しながら、その中身は空疎で具体的な指摘はほとんど何もなされなかった。この逆転有罪判決を確定させることは決してあってはならないことである。それは、すべての司法関係者にとっての恥辱である。

 弁護団の小口弁護士は、最高裁判所の現状とこれからについて話されました。

 最高裁裁の調査官によって、最高裁判事が上告趣意書を読むことはなく、棄却されるかどうかの仕分けがされるまでの期間は3~6か月。上告趣意書の提出後も、専門家の意見書等を補充書として追加提出することができる。補充書や署名を適宜提出し、こちらが波をつくっていく。この間は、高裁判決が覆る場合に、最高裁は一度だけ弁論を開く。

 これからの活動について「裁判は裁判官のものではない。国民のものにするために弁護団は無罪を求めてしゃにむにしつこく努力し、法廷外に伝える。科学といえない科捜研への批判は積年の課題で広く共感を得ることができるはず。法廷内外の奮闘・応援で裁判所に正論を語らせましょう。」と訴えました。

 ご親族からは、この間の支援に対する御礼が述べられ、外科医師ご本人のメッセージを代読されました。

 ご本人のメッセージの一部を紹介します。

 本日は、仕事のため参加できず申し訳ありません。現在は、手術はもちろん、外来で直接に患者さんを説明し、触診もしながら診療しています。その際は看護師に必ず同席してもらっています。東京高等裁判所で有罪判決となり、上告審の被告の立場となっています。もちろん、いわれのないことであり無実です。

 この判決について、科学捜査研究所の非科学的な手法を是としていること、手術後のせん妄状態下の幻覚の可能性を排除していること等、とても問題が多く、この判断により私の医師としての診療継続だけでなく、家族との幸せな日常生活も奪われました。警察・検察ばかりでなく裁判所までも不当な判断をする今、最高裁判所に真っ当な判断をしてもらう必要があります。高野弁護士を中心に完璧な上告趣意書を提出しました。まっとうな判断を静かに待ちたいと思っています。

 最後に外科医師を守る会から、今後の運動として次の4点のお願いをさせて頂きました。

1、最高裁判所宛「高裁判決を破棄し、無罪にして下さい」の個人要請署名にご協力ください。

 最高裁は、地裁・高裁と違って、原則として法廷が開かれません。それだけに、「法廷外の傍聴人」である署名の数が重要です。「無実の人は無罪に」「この事件に関心がある」という世論を、最高裁に届けることができます。これまでに会としては、5万筆以上の署名を集めてきましたが、それを大きく上回る規模の署名を集め、当面毎月末に集約して翌月に最高裁へ提出・要請していきます。

2、改めて「無罪を勝ちとるための支援基金」へのご協力をお願いします。

 無罪を勝ち取るために、事件や判決を多くの方々に知ってもらう取り組みを強めたいと思います。会としては、高裁判決批判チラシを作成しました。インターネット署名や、出されている疑問や誤解に対する「Q&A」集なども作成中です。さらに今後の展開に伴って、弁護団で検討されているとの事ですが、せん妄に関しての専門家や医師による「カンファレンス」の開催などを支援したいと思います。そうした論証の強化やホームページも含めた広報の強化に基金を活用させて頂きたいと考えています。また、有罪判決でいくつかの仕事を失った外科医師とご家族の生活を少しでも支援できればと考えています。支援基金の扱いについては、適宜使途を公表致します。

3、外科医師を守る会のホームページの拡散と守る会会員登録のお願い

 裁判などの情報や行動の呼びかけを適宜掲載致しますので、守る会ホームページの存在を広めてください。また、守る会への入会をホームページの入会フォームもしくは申込書にてお願いします。入会費はありませんが、ご寄付頂ければ幸いです。随時ホームページのブログや会員メールを通じて情報発信をしてゆきます。メールを使われない方には、適宜郵送にて情報等お伝えします。

4、集会の開催や各種集まりで訴えさせて頂きたい

 会として、事件や判決内容、上告趣意書の論点を広く知っていただき、支援を訴える機会をみなさん方に、短時間でも少人数の集まりでも設けて頂くことをお願いします。会の事務局をはじめ弁護士、外科医師本人が可能な限りそうした場に伺わせて頂く、もしくはインターネット回線等を通じて直接訴えをさせて頂きたいと思います。ぜひ企画して頂き、私たちを呼んでください。

 以上4点、目の前で冤罪を見過ごすわけにはいきません。医療現場での委縮を招かないため、なんとしても無罪を勝ち取るため、引き続きのご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

“上告趣意書学習会を開催” への1件の返信

  1. 本当にお辛いなか、先生は今も、私たち患者の為に医師として冷静に頑張っていらっしゃっていることが、いたいほど伝わってきました。
    頑張っていらっしゃっている先生の何がいけないのか?理不尽すぎる裁判にハラワタが煮えたぎり‼️私たちにとって先生はなくてはならない医師です‼️
    本当に本当に無実になられること心からお祈りしてやみません‼️
    先生、私は一人の患者として助けて頂いたものとして無実を信じ、先生の柔らかいあたりの笑顔を拝見したいです❗️
    先生、皆患者たちは先生を信じ待っています。
    ひとかけらのことしか出来ないかも知れませんが、ご協力させていただけることはさせていただきますね。

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