8月28日 判決報告会を開催します

 参加申し込みが、定数の100名(コロナ対策のため入場制限)となりましたので、8月26日正午をもって、申し込みを締め切らせて頂きました。報告会はコロナ対応として事前予約制とさせていただきましたので、事前予約されていない方の入場はできません。どうかご了承ください。

 高裁判決についての報告会を開催し、弁護団による高裁判決の問題点について学ぶとともに、無罪判決を勝ち取るための新たな決起の場にしたいと思っております。大変ご面倒をおかけしますが、コロナ対策として概ね100名の参加の事前予約制としますので、参加ご希望の方は上記申込書の内容を8月26日までにメールまたは電話で外科医師を守る会まで連絡ください。コロナ禍の影響により、会場管理者からの要請によって中止をする場合もございますので、あらかじめご承知おきください。

  高裁判決後の見解・報道など

 7月13日の高裁不当判決後に医療団体から出されている見解や判決内容に関する記事をリンクさせて頂きます。

高裁判決に対して各団体の見解

日本医師会 https://www.med.or.jp/nichiionline/article/009494.html

東京保険医協会 https://www.hokeni.org/docs/2020071700010/

全国医師連盟 http://zennirenn.com/news/2020/07/post-94.html

日本医師会・日本医学会合同記者会見 https://www.med.or.jp/nichiionline/article/009505.html

日本医療法人協会 https://gekaimamoru.org/wp-content/uploads/2020/09/6a6b3c1d7fb8fa9a5550c00f12261a9e.pdf

高裁判決に関する記事

ジャーナリスト江川紹子さん(Yahooニュース)  https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20190220-00115538/

医療ジャーナリスト 福原麻希さん(Diamond Online)  https://diamond.jp/articles/-/243085

弁護士ドットコムニュース https://www.bengo4.com/c_1009/n_11582/

m3.com(会員登録が必要)https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/799737/?category=

日経メディカル(会員登録が必要)https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/yakushiji/202007/566424.html

   東京高裁の不当判決に抗議する

 本日7月13日、東京高等裁判所第10刑事部は、乳腺外科医師冤罪事件の控訴審において、「外科医師は無罪」とした東京地裁の無罪判決を破棄して、懲役2年の実刑判決を出しました。私たちは、この不当判決に満身の怒りをこめて、断固抗議をするものです。

 この事件は、2016年5月10日、東京都足立区の柳原病院で右胸から乳腺腫瘍を摘出する手術を執刀した外科医師が、女性患者から「術後に左胸を舐めるなどのわいせつ行為をされた」と訴えられたものです。患者は手術時に全身麻酔をしており、「被害」を訴えたのは術後約30分のことでした。外科医師は、一貫して無実を主張していました。外科医師は2016年8月25日に「準強制わいせつ罪」で逮捕され、9月に起訴されました。逃亡・証拠隠滅の恐れがないにもかかわらず、外科医師の身柄拘束は105日間も続きました。

 弁護団は、「女性患者は術後せん妄の状態にあり、幻覚を見ていた可能性がある。科学捜査研究所によるDNA鑑定およびアミラーゼ鑑定は再現性・科学的信頼性がない。手術前の診療行為の際などに、外科医師のDNAが付着した可能性があり、わいせつ行為を行なったことにはならない」と一貫して主張してきました。東京地方裁判所においては、①麻酔覚醒時のせん妄の有無と程度による患者証言の信用性②DNA鑑定及びアミラーゼ鑑定に対して科学証拠としての許容性、信用性及び証明力を主要な争点として審理され、「犯罪の証明がない」として2019年2月20日、無罪判決が出されました。

 東京高裁では、「手術後のせん妄の有無」を争点として専門家による証言が行われました。審理のなかでは、豊富な診療例と国際的に確立された診断基準により「女性患者がせん妄状態であったことは明瞭である」ことを示し、事実と科学的道理にかなうのは「控訴棄却判決」=「外科医師は無罪」しかないことが明らかになりました。それにもかかわらず東京高裁は、非常識かつ非科学的な判決を言い渡しました。判決では、自ら「せん妄の専門家ではない」と法廷で言った高裁の検察側推薦の証人が独自に展開する証言を採用し、一審段階からの専門家の科学的知見を排斥する暴挙に出ました。そして、DNA鑑定及びアミラーゼ鑑定についても、データや抽出液廃棄などが行なわれて再現性・科学的信頼性がないのにもかかわらず、科捜研の検査員であることを理由に信用性を認めました。事実と科学を否定した判決であり、「有罪ありき」と言わざるをえないものです。

 外科医師の逮捕・起訴から約4年間、今でも多くの医師・医療従事者、さらに患者がこの事件に関心を寄せているのは、「麻酔覚醒時の患者証言のみにより逮捕・起訴・長期勾留されることになれば、日常の医療行為が安心してできなくなる」との懸念を抱き、それが医療現場の委縮を招き、ひいては患者の生命や健康に損害を及ぼしかねないからに他なりません。

 私たちは、事実に基づいた科学的な証明により外科医師の無実を確信し、支援を続けてきました。外科医師の無罪を勝ちとるためにご支援いただいた全国の皆さんに心から感謝を申し上げるとともに、引き続き、弁護団と手を携えながら、一日も早く無罪を確定させるまで奮闘する決意を表明します。

  2020年7月13日

                外科医師を守る会

             7月13日 東京高裁前
          7月13日 判決直前にも高裁前で訴えました

判決日、7月13日(月)です

 日頃より、ご支援ご協力ありがとうございます。

 コロナ禍によって判決日程が延期となっていましたが、7月13日(月)、14時より、東京高裁102号法廷(前回公判と同じ)で判決となりました。前回同様にコロナ対策として裁判傍聴席数は減じられ、傍聴は抽選になると思われます(下記リンクをご覧ください)。事務局としては、現状に鑑み傍聴呼びかけを積極的には行いませんが、関係者傍聴のためにご協力いただける方は抽選券確保をお願いしたいと思います。

https://www.courts.go.jp/app/botyokoufu_jp/list?id=6 傍聴券交付情報URL

 また、判決終了後別場所において密を避けることを念頭に、短時間で判決報告会を開催する予定です。こちらへの参加ご希望の方は、7月6日までにメールにてお問合せください。

 なお、高裁で判決が出されることから、これまでの総括的な報告会を8月下旬に予定しております。日程や場所などについては改めてお知らせ致します。

高裁宛署名を追加提出

 4月7日、東京高裁に皆さんからお寄せ頂いた署名2,142筆を追加提出致しました。これで高裁宛の「外科医師は無罪です。検察の控訴を棄却し、無罪判決を求める署名」は合計で12,848筆の提出となりました。ご協力ありがとうございました。

 東京高裁での判決は4月15日(水)、15時開廷です。傍聴券の抽選は14時45分に行われるとの事ですので、傍聴される方をはじめ傍聴券の確保にご協力を頂ける方は、14時半頃に東京高裁へお越し頂き、外科医師を守る会の者にお声がけください。

東京高裁傍聴券交付情報:https://www.courts.go.jp/app/botyokoufu_jp/list?id=6

4月7日提出署名の表紙

判決に向けて署名をお寄せください

 いつもご支援、ご協力ありがとうございます。

 4月15日(水)東京高裁での判決日となります。ご協力を頂いている東京高裁第10刑事部宛署名「外科医師は無実です 検察の控訴を棄却し、無罪にして下さい 」を3月中には提出する予定ですので、ファクス、メール、郵送などで至急送付ください。(署名用紙は本ブログの2019年4月2日掲載)

 なお、3月24日(火)13時半開廷の東京高裁での最終弁論は、コロナ対策 として法廷が102号法廷へ変更となり、傍聴人数も席の間隔を空ける ため少 なくなるとの事です。傍聴券の抽選は13時となりますので、それまでに高裁3番交付所で抽 選券を受け取ってください。抽選券確保だけのご協力もお願い致しますが、 時節柄無理をなさらずにして下さい。

参考:傍聴券交付情報 https://www.courts.go.jp/app/botyokoufu_jp/detail?id=13436& list_id=6

高裁第1回公判

2020年2月4日 東京高裁第1回公判傍聴記

文責 外科医師を守る会 事務局

検察側証人への尋問

2月4日、初公判13時30分開廷。

 傍聴券の抽選は13時15分、傍聴席は約50席、傍聴券を求めて120人が並んだ。開廷時刻の13時30分になっても傍聴者の入廷チェックの列は門の外まで伸びている。なぜ時間に余裕をみて抽選時間を決めないのかと整列の為にいた係員に苦情を述べる人もいたが係員は・・・・私に言っても時間を決めたのは私ではないそんなわけで開廷から傍聴者が全員着席して証人尋問が始まるまで5分以上待たなければならなかった。

 裁判官は第10刑事部の朝山芳史部総括判事(第33期・令和2年5月2日退官)、裁判所の関心事は、女性はせん妄であったか、身の回りで起きたことを認識する能力およびLINEメッセージを発信する能力、せん妄と診断された場合に、さらに幻覚錯覚が生じる可能性、だという。

 2月4日は検察側、2月26日は弁護側がそれぞれ推薦した精神科の専門家の証人尋問が行われ3月24日の最終弁論で結審となる。4月にも判決が出される。以下は、筆者が初公判を傍聴した際に記したメモをもとに作成したもので、詳細に一字一句正確とは断言できないが、大筋において、このような証言が交わされた。

 証人尋問に先立って、裁判所は双方に確認した。検察の控訴趣意書に対して特に述べることは無かった。

 弁護側は主任弁護人の高野隆弁護士が、控訴趣意書に対する答弁書について述べた。本件は犯罪ではなく医学的症例だ。原審において手術に立ち会った八巻医師、麻酔科医、3人の看護師、病棟の患者の証言を信用できるとしてAさんは術後せん妄にあった可能性が高いと認めた。弁護側が行った検証実験により外科医師の術前にDNAやアミラーゼが付着し検出された可能性があると認めた。しかし私どもは原審の判決に満足していない。科捜研の科学と言えない鑑定が明らかになった。1時間でアミラーゼ検査が強陽性になったことを写真に残さず、ワークシートは鉛筆書きで消した跡が9か所、書き直した跡が7箇所あり、DNA抽出液を廃棄した。こんなものを刑事裁判で認めたことはアンフェアである。

証人尋問

 検察側が推薦した証人の井原裕教授(獨協医科大学埼玉医療センターこころの診療科)井原氏は本件についてのプレゼンテーションを1時間弱パワーポイントで行い、その後に検察側の尋問、弁護側の尋問と進んだ。

《井原教授のプレゼンテーション》

証言要旨として以下の3点をあげた。

  • 1)Aさんにせん妄はあった
  • 2)Aさんの証言は信用できる。「幻覚があったとは言えない」
  • 3)本件同様の事件は稀ではない

 私は、「せん妄」研究の専門家ではないが、「せん妄」臨床の一般知識こそ持っている、司法精神医学の専門家であると自己紹介をした。

 麻酔によるせん妄は体内にはいった化学物質によって起こり時間の経過とともに改善していくタイプだとしてアルコールによる酩酊の判断能力を記したビンダーの分類(1935)を例に出して、単純酩酊では見当識は保持されて幻覚・妄想なし。複雑酩酊では見当識はおおむね保持されて幻覚・妄想なし。病的酩酊では見当識は失われ幻覚・妄想が多いと説明した。

 さらに、せん妄にも幅があり、低活動型せん妄、混合型せん妄、過活動型せん妄と分類される(川嵜2007)こと。低活動型せん妄は見当識障害はなく、幻覚・幻視・錯視はなしか極めて稀、記憶障害は少ない。これに対して過活動型せん妄は見当識障害があり、幻覚・幻視・錯視はしばしばあり、記憶障害があると説明した。

 Aさんについては、14時45分、「ふざけんなよ、ぶっ殺してやる」と言った時は過活動型せん妄であり、その記憶はない。その後にどんどん回復して、14時55分、看護師の「痛いですか」の問いに「痛いです」と返事ができる状態では低活動型せん妄。15時12分にはLINEが打てる状態になっていた。これは合目的行動だと説明。しかし血中薬剤はまだ残っているのでウトウト寝てしまう状態だったこと、被害を受けた記憶を覚えているので低活動型せん妄の状態だったと言えること、弁護側小川鑑定はAさんのせん妄の状態を広くとりすぎており見誤っていると反論した。

 その上でAさんの訴えは痴漢被害者の心理として説明できる。弁護側が一審で示した性的幻覚を見たとするBalasubramaniamの論文の「医者がこんなことするわけがない!」「せん妄だ!」「幻覚だ!」は世界では通用しない。麻酔・鎮静中の医師の性犯罪は世界的な問題になっている。と主張を展開した。

《検察の証人尋問》

検察の尋問で、Aさんは幻覚を見ていないという証人の主張を、改めて確認した。

検察官 Aさんが幻覚を見る可能性の時間帯についてはどうか。

証人 「ふざけんなよ、ぶっ殺してやる」と言った14時42分時点は幻覚を見ていて、LINEを打っている15時12分以降は幻覚を見る可能性はありません。

検察官 麻酔薬によるせん妄とアルコールによるせん妄を同じと考えてよいのか

証人  癌患者や合併症をいくつももっている高齢をモデルに判断すると見誤ります。

検察官 15時15分の「ここはどこ」、「お母さんはどこ」は見当識障害ではないのか。

証人  衝撃的な出来事があって冷静沈着でいられないなかでその発言は当然です。

検察官 14時45分に病室に戻ってきたとき過活動型せん妄、15時12分にはLINEが打てる。20分で変わるものですか。

証人  麻酔からどんどん覚めていく。朝起きるのと同じ。

検察官 せん妄には浮動性(一定せず不安定な状態)があり、幻覚が説明つくのではないか。

証人  的外れな議論です。1日の中で意識レベルに差があることを浮動性といいます。普通はドクターが入ってきたときに緊張して意識レベルが上がり、ドクターが出たときに意識レベルが下がるので、ドクターがいた時だけ意識レベルが下がって幻覚を見ることは有り得ません。

《弁護側の尋問》

 証人はプレゼンテーションに引用したビンダ―の酩酊の分類は、せん妄について書いたものではないことを認めたうえで、ビンダ―の酩酊の分類を用いたのは、せん妄を理解しやすいように独自にアレンジしたものであり、今回のせん妄をせん妄一般で理解してはいけないと主張した。

弁護人 ビンダーの分類では単純酩酊、複雑酩酊、病的酩酊と書かれていたものを、参考に先生はせん妄を低活動型、混合型、過活動型に当てはめる考えを示した。単純酩酊は低活動型せん妄、複雑酩酊は混合型、病的酩酊は過活動型に置き換えたということですね。

証人  それぞれに該当するわけではありません。重症度に違いがあるという事を示したかったのです。今回は体に入った化学物質が代謝されていく際に生じるタイプのせん妄、アルコールもだんだん体から抜けていく。アルコールとプロポフォールによるせん妄を比較することは意味があるが、プロポフォールのせん妄とせん妄一般を比較することは意味が無い。

弁護人 このように置き換える考えを先生以外で、提唱されていますか。

証人  せん妄の精神医学的な知識を正確にしゃべったところで、本件を理解するうえでは何の役にも立ちません。ですからアレンジを加えたという事です。

弁護人 先生が作られた表について低活動型について幻覚・幻視・錯視については、「なし、極めて稀」とあります。このことについての出典はありますか。

証人  幻覚が問題になるようなことは無い。不活発が問題になることはありますが、基本的に幻覚についての記載がない。

弁護人 (低活動型せん妄に幻覚が認められるとする弁護側が用意した論文を示して)先生は今日証言するにあたり先生はこの論文を参照されましたか。

証人  本日のプレゼンテーションでこの論文を参照する必要は全くありません。この論文のモデルは緩和ケアで高齢者。本例は若くて癌でもない人、この論文を参照する必要はありません。

弁護人 (証人がプレゼンテーションで示したスライドを示して)先生は、低活動型せん妄の場合に、見当識障害は無いかあるいは少ないという理解ですか。

証人  せん妄に関する論文は高齢者医療についての論文ばっかりです。だからせん妄の一般論を30代の若い女性に当てはめてはいけないのです。

証人は低活動型せん妄は、見当識障害を伴うことはまれで記憶障害は少ない、本例を理解するうえでDSM-5の診断基準は何の役にも立たないと主張した。しかしその根拠については明らかにしなかった。

弁護人 DSM-5の診断基準にせん妄について、真っ先に見当識の低下がせん妄を診断するうえでの一つの基準とされています。それだけとは言っていません。しかし先生の考えは必ずしもDSM-5の診断基準に沿うものではない。

証人  基準にはなりますが、見当識だけを上げて強調すると見誤ると思います。見当識の障害が無くてもせん妄と診断で来る例はあります。

弁護人 先生は高齢の緩和ケア病棟にいる患者さんと、若い30代の健康な患者さんの低活動型せん妄には、記憶の保持に違いがあると言われた。出典、論文ありますか。

証人  出典を聞くまでもなく、あまりにも医学的に当たり前のことです。

弁護人 病院でワンフロアに響くくらいの大きな声をだして興奮した。これは礼節を失っている行動と評価することは出来ませんか。

証人  これはせん妄かどうかではなくて、実際に何か本人を苛立たせるような状況が起こっているのではないでしょうか。

弁護人 DSM―5のサブタイプは患者の年齢は考慮していない、低活動型せん妄では、見当識障害はないとか概ね保持されるとか、言っていない。

証人  DSMでは言っていないですが本件を理解するうえでは何の役にも立ちません。

 証人がプレゼンテーションに用いた、医師の性犯罪が増えているというスライドには証人の誤訳があり、処分された件数ではなく対象に上がった件数だった。さらに証人は、患者に性的暴行を加える医師についての論文を紹介したが、性的暴行が繰り返されたとする項目を証人は統計から削除していた。

弁護人 先生はせん妄による幻覚は思い出せないと言いました。プロポフォールを使った患者が幻覚を見たという論文、先生がスライドで引用しているBalasubramaniamにもいくつか報告されています。

証人  私はBalasubramaniamの論文については懐疑的です。

弁護人 (証人がプレゼンテーションで示したスライドを示して)麻酔鎮静中の医師の性犯罪は世界的に深刻な問題になっているとした「Doctors & Sex abuse」の統計で 1999年以来3500ケース、最近2年間だけでも450人が処分されたとなっていますが、この数は対象に挙げられた数で処分とは一言も書いてありません。

証人  訳しきれて、いなかったかもしれません。

弁護人 (証人がプレゼンテーションで示したスライドを示して)先生は患者に性的暴行を加える医師のタイプの論文で)5因子の組み合わせとして説明されていますが、5因子だけではないですね。

証人  パーセンテージが高い上から5つを選びました。

弁護人 患者の数というコードがありほとんどの場合は複数です。しかしこの統計には含まれていない。繰り返し行われているのが全体の96%

証人  その通りです。

筆者の感想

井原教授は以下のようなことを主に話された。

 Aさんにせん妄はあったが、時間の経過とともに「ふざけんな」と話したときは過活動型せん妄であり幻覚を見ていた、そのことは記憶に残っていない。その後に被害を訴えた時はどんどん回復期にあり、低活動型せん妄の状態だったと言える。低活動型せん妄の状態では見当識は保たれており、Aさんの記憶は正しく幻覚は見ない。夢であれば覚めるはずなので夢でもない。Aさんはプロポフォールによるせん妄であり、年齢も若く基礎疾患もないので、通常のせん妄の基準は適応してはいけない。一般に用いられているDSM―5は何の役にも立たない。自分は臨床の現場で経験を積み日々せん妄の患者と接し、論文を書いたり研究発表したりすることは専門ではないと言われた。

一傍聴者として筆者は率直に以下のように感じた。

 一般的に用いられている基準を否定して自らの考えを主張するのであれば、その裏付けとなるエビデンスも明らかにしてほしい。医師の性犯罪が増えていることを説明するスライドがそもそも誤訳であり、たとえ性犯罪をする医師が増えていたとしても、個別の例で分析しなければ意味が無い。原審で確率が低いから術後せん妄ではなかったと主張する検察の組み立て方と同じではないだろうか。性犯罪を繰り返すというデータを統計分析から除いたのも、統計を説明するうえで恣意的と感じる。

 証人の手法に倣えば、一般的な基準を無視して根拠を示さず自論を展開したり、誤訳や重要な項目を削除した統計を見せられても、本件を理解するうえで、何の役にも立たない。

1月23日 高裁無罪を目指す決起集会開催

当日会場は無罪を勝ち取ろう!と決意に溢れました
 1月23日夜、「外科医師裁判の高裁無罪を目指す決起集会」は、小雨が降り寒い中、100名の方に参加頂きました。ご支援ほんとうにありがとうございました。
事件関係者や支援いただいている方々からの発言、ご家族の訴え、外科医師本人からのメッセージと、現状を共有でき、とても意気高まる決起の場となりました。会場では署名140名分、カンパ約10万円が寄せられました。改めて御礼申し上げます。
 4月27日判決までの3ヶ月あまり、短期集中で署名や裁判傍聴など、もう一回りのご支援をよろしくお願いいたします。
 (「公判日程について」のページに日程を掲載しています)
事件・地裁判決に対する思いや激励・決意を発言頂きました

高裁に署名を提出しました

ご協力ありがとうございます。
2020年1月17日に東京高裁に10,706筆の署名を提出しました。
3月24日結審の前まで適宜追加提出しますので、引き続きご協力をよろしくお願い致します。