12月24日、最高裁へ要請、署名提出

 最高裁へ無罪判決を求める要請を9名(感染症対応)で行いました。対応した書記官に「上告趣意書の学習会をやったら25人も参加した」「本件は、DNA型鑑定ではなくDNA定量検査が大事。DNA定量検査が研究者のあいだで確立された手法か?」「ワークシートを鉛筆書きするのは、大学生でもやらない。それを科捜研がするのかという怒りがある」「事実審を重視してほしい。裁判官は現場に足を運んで実際に見たり、無実の人の声を聞いてほしい。昔はやっていた」とそれぞれ思いを訴えました。

 要請と同時にこの間にみなさんからお寄せ頂いた署名1万186筆を提出しました。署名は累計で4万4千394筆となりました。来月以降も引き続き要請、提出を行いますので、ご協力をよろしくお願い致します。

 なお、弁護団は、上告趣意書に追加する補充書の作成を進めており、その第一弾を1月初旬にも提出するとの事です。

上告趣意書学習会を開催

 11月27日、足立区勤労福祉会館(綾瀬プルミエ内)にて弁護団から2名の弁護士のご協力を頂き、上告趣意書学習会を開催しました。外科医師を守る会では、弁護団が11月10日に上告趣意書を提出したことをうけて、今後さらに外科医師への支援を広げるために、今回の学習会を企画しました。コロナ感染症対応のため、参加者数を制限して73名の参加でした。

 弁護団の黒岩弁護士は、主に上告趣意書の内容について説明されました。

 私たちは一審判決で無罪を勝ち取った。東京地裁の裁判官は保釈請求を却下するなど当初は被告に厳しかったが、病院関係者の証言は信用でき、女性患者の証言は麻酔覚醒時のせん妄の影響を受けていたと認定した。一審判決は100%納得できるものではないが、科学と道理に基づいて分析を重ね、無罪判決を勝ち取ったことに重みがある。

 一方で高裁判決は、道理と正義に反して、乱暴そのものである。上告趣意書は五つの項目に分かれている。

第1 無罪判決に対する検事控訴を認めたこと(憲法違反)

第2 科捜研鑑定を許容したこと(判例違反、憲法違反、著しく正義に反する法令違反)

第3 無罪判決を破棄したこと(判例違反)

第4 有罪の自判をしたこと(憲法違反、判例違反)

第5 無罪とすべき人を有罪としたこと(著しく正義に反する事実誤認)

上告趣意書の主体は第5です。以下は上告趣意書の最後の言葉です。

 「論理則」とか「経験則」とかいう言葉を繰り返しながら、その中身は空疎で具体的な指摘はほとんど何もなされなかった。この逆転有罪判決を確定させることは決してあってはならないことである。それは、すべての司法関係者にとっての恥辱である。

 弁護団の小口弁護士は、最高裁判所の現状とこれからについて話されました。

 最高裁裁の調査官によって、最高裁判事が上告趣意書を読むことはなく、棄却されるかどうかの仕分けがされるまでの期間は3~6か月。上告趣意書の提出後も、専門家の意見書等を補充書として追加提出することができる。補充書や署名を適宜提出し、こちらが波をつくっていく。この間は、高裁判決が覆る場合に、最高裁は一度だけ弁論を開く。

 これからの活動について「裁判は裁判官のものではない。国民のものにするために弁護団は無罪を求めてしゃにむにしつこく努力し、法廷外に伝える。科学といえない科捜研への批判は積年の課題で広く共感を得ることができるはず。法廷内外の奮闘・応援で裁判所に正論を語らせましょう。」と訴えました。

 ご親族からは、この間の支援に対する御礼が述べられ、外科医師ご本人のメッセージを代読されました。

 ご本人のメッセージの一部を紹介します。

 本日は、仕事のため参加できず申し訳ありません。現在は、手術はもちろん、外来で直接に患者さんを説明し、触診もしながら診療しています。その際は看護師に必ず同席してもらっています。東京高等裁判所で有罪判決となり、上告審の被告の立場となっています。もちろん、いわれのないことであり無実です。

 この判決について、科学捜査研究所の非科学的な手法を是としていること、手術後のせん妄状態下の幻覚の可能性を排除していること等、とても問題が多く、この判断により私の医師としての診療継続だけでなく、家族との幸せな日常生活も奪われました。警察・検察ばかりでなく裁判所までも不当な判断をする今、最高裁判所に真っ当な判断をしてもらう必要があります。高野弁護士を中心に完璧な上告趣意書を提出しました。まっとうな判断を静かに待ちたいと思っています。

 最後に外科医師を守る会から、今後の運動として次の4点のお願いをさせて頂きました。

1、最高裁判所宛「高裁判決を破棄し、無罪にして下さい」の個人要請署名にご協力ください。

 最高裁は、地裁・高裁と違って、原則として法廷が開かれません。それだけに、「法廷外の傍聴人」である署名の数が重要です。「無実の人は無罪に」「この事件に関心がある」という世論を、最高裁に届けることができます。これまでに会としては、5万筆以上の署名を集めてきましたが、それを大きく上回る規模の署名を集め、当面毎月末に集約して翌月に最高裁へ提出・要請していきます。

2、改めて「無罪を勝ちとるための支援基金」へのご協力をお願いします。

 無罪を勝ち取るために、事件や判決を多くの方々に知ってもらう取り組みを強めたいと思います。会としては、高裁判決批判チラシを作成しました。インターネット署名や、出されている疑問や誤解に対する「Q&A」集なども作成中です。さらに今後の展開に伴って、弁護団で検討されているとの事ですが、せん妄に関しての専門家や医師による「カンファレンス」の開催などを支援したいと思います。そうした論証の強化やホームページも含めた広報の強化に基金を活用させて頂きたいと考えています。また、有罪判決でいくつかの仕事を失った外科医師とご家族の生活を少しでも支援できればと考えています。支援基金の扱いについては、適宜使途を公表致します。

3、外科医師を守る会のホームページの拡散と守る会会員登録のお願い

 裁判などの情報や行動の呼びかけを適宜掲載致しますので、守る会ホームページの存在を広めてください。また、守る会への入会をホームページの入会フォームもしくは申込書にてお願いします。入会費はありませんが、ご寄付頂ければ幸いです。随時ホームページのブログや会員メールを通じて情報発信をしてゆきます。メールを使われない方には、適宜郵送にて情報等お伝えします。

4、集会の開催や各種集まりで訴えさせて頂きたい

 会として、事件や判決内容、上告趣意書の論点を広く知っていただき、支援を訴える機会をみなさん方に、短時間でも少人数の集まりでも設けて頂くことをお願いします。会の事務局をはじめ弁護士、外科医師本人が可能な限りそうした場に伺わせて頂く、もしくはインターネット回線等を通じて直接訴えをさせて頂きたいと思います。ぜひ企画して頂き、私たちを呼んでください。

 以上4点、目の前で冤罪を見過ごすわけにはいきません。医療現場での委縮を招かないため、なんとしても無罪を勝ち取るため、引き続きのご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

11月27日、上告趣意書学習会を開催します

 11月10日に弁護団は最高裁判所に上告趣意書を提出しました。そこで、この上告趣意書について弁護団より解説していただき、学習する場として上記学習会を開催します。無罪判決を勝ち取るためにも、ぜひご参加ください。ただし、コロナ感染症対策として会場は概ね130名までの事前予約制とします。

 参加ご希望の方は上記申込書の内容を11月25日までにメールまたは電話で「外科医師を守る会」までお申し込みください。参加者人数が上限に達した場合は、参加を見合わせて頂くようお願いすることがございますのでご協力のほどよろしくお願い致します。また感染拡大状況によっては、会場管理者の要請により規模の縮小や中止をする場合もございますので、あらかじめご承知おきください。

11月12日、最高裁へ署名を提出しました

 最高裁宛の署名にご協力いただき、ありがとうございます。多くのみなさまから昨日までに寄せられた署名を提出し、外科医師を守る会、国民救援会あわせて7名で30分程度、最高裁判所小寺訟廷首席書記官補佐に口頭にて要請をしました。

 本日提出した署名は29,707筆(うち団体署名6通)です。これまで提出した署名累計で34,208筆(うち団体署名23通)となりました。

 当面の間、月1回程度のペースで署名提出を行う予定ですので、引き続き署名へのご協力ををお願い致します。

 なお、弁護団は11月10日に最高裁判所へ上告趣意書を提出したとの事です。その内容については、11月27日開催予定の「上告趣意書学習会」にて弁護団から報告されます。学習会(ご案内は別途)にもぜひ、ご参加ください。

10月2日、2020年度司法総行動に参加、最高裁へ要請しました。

 午前中の集会から外科医師を守る会のメンバーが参加しました。昼には、最高裁前で宣伝カーから「乳腺外科医師冤罪事件」について訴えをさせて頂き、その周辺では署名の協力もお願いして約30筆ほど集めることができました。その後、個別事件毎に最高裁要請を行い、この約1ヶ月の間に皆さんから寄せられた4,501筆の署名を提出しつつ、裁判所の担当者に事実や科学に基づいた公正な判断をするよう要請をしました。お忙しい中、署名を寄せてくださったみなさんに感謝申し上げます。

 なお、弁護団から「最高裁への上告趣意書」提出期限は11月10日まで延長が認められたとの連絡がありました。さらに事件の内容を多くの方々に知っていただき、署名の輪・支援の世論を広げていきたいと思っております。引き続きのご支援をよろしくお願い致します。

 9月7日、最高裁統一要請行動に参加

 日本国民救援会が40年前から定期的に実施している第247次最高裁統一要請行動に、外科医師を守る会として参加しました。

 要請行動に先立ち、最高裁関係者の方々の出勤時間にあわせて、最高裁判所西門にて作成した「外科医師えん罪事件」のチラシを配布しながら、路上からの訴えも行いました。その後、コロナ対策として参加人数が10人と制限されていましたが、最高裁内の会議室にて約1時間、袴田えん罪事件を支援する方々とともに、外科医師を守る会も事件について訴えさせていただきました。最高裁第二訟廷上席書記官が対応し、私たちは東京高裁判決の不当性を訴えるとともに、最高裁として公正な判断をして、無罪判決を出して欲しいと要請しました。今後、機会あるごとに最高裁に対して署名提出や要請などの働きかけをしてゆく予定です。引き続き署名などご協力をよろしくお願い致します。

          9月7日 最高裁判所西門前にて

8月28日、高裁判決報告集会を開催しました

 高裁判決の報告とともに、無罪判決を勝ち取るための新たな決起の場として報告集会を会場満席で無事終えることができました。改めて皆さんに感謝申し上げます。また今回、会場は新型コロナで入室制限される中、事前予約制として参加見合わせをお願いした方々もおられ、ご理解・ご協力いただきありがとうございました。

 開会のあいさつで柳原病院石川前院長は「術後せん妄を十分説明してこなかったことは痛恨の思い、せん妄を診断する国際基準があることを高裁は無視した、病院の関係者というだけで一生懸命事実を明らかにしようとした看護師の証言を、高裁は信用できないとした事はしっかり訴えていきたい」と述べました。

 主任弁護人の高野弁護士は「晴天の霹靂というべき衝撃的な逆転有罪判決だった。これまで刑事弁護士40年近くをやってきているが、これほどダメージを受けた判決はない。検察官の上訴がいかに理不尽で人間を痛めつけるものなのか改めて思い知らされた判決だった」と振り返り、「杜撰な科捜研の鑑定を問題がないとしたこと、せん妄の専門家の意見を捨てて一編の論文をも書いたことない、せん妄は素人の精神科医師の意見を採用したこと。女性患者の証言に迫真性があり矛盾がないと信用する一方で外科医師が自慰行為をしていたところを見たという、(判決に都合の悪い)点には触れない」「一審判決は、専門家の意見を丹念に検討して、典型的な術後の幻覚として無罪にしたが、高裁は数々の証拠を黙殺した。戦後四分の三世紀に渡って日本の司法は冤罪を繰り返してきたのは紛れもない事実。私も冤罪に出会ってきたことは何回もあるが、今回ほど衝撃的な事件はない。一審判決はあれだけの証拠を集め、認定して無罪にしたが、高裁はその証人の顔も見ていないし、高裁の裁判官は書面を見ただけで、言葉の遊びだけで有罪にしてしまう。これは恐ろしい事だ。弁護団は最高裁に向けて冤罪を確定させないようしなければならない。神経が疲れる仕事だと思うが、自分の目の前で冤罪を確定させたくはない。どうか皆さん、引き続きご支援をお願いしたい」と結びました。

 弁護団の小口弁護士は、あずみの里の弁護団として無罪判決を勝ち取れた経験から、「45万筆もの署名が集まったころからマスコミに多く取り上げられ、介護・看護の錚々たる人達が賛同してくれた。最終的には署名は73万筆に達し、高裁は無罪判決を書くしかなかったのではないか。本件でも、安心して最高裁が無罪を書けるように盛り上げていく必要がある」と社会に訴える活動について教訓を述べました。

 柳原病院の八巻医師は「事件に立ち会っていた当事者として、病室の環境やベッドの高さから事件は有り得ない。医師が診察すれば患者から医師のDNAが出ることは当たり前。高裁は看護師や同室患者の証言を無視した。これでは安心して医療ができない。医療界全体に影響する問題だ」と発言しました。

 集会に参加されていた方々からも激励の発言を頂き、弁護側推薦の専門家として証言した大西教授は「医学が綿々と積み上げてきた論文を否定された。判決を聞いていて本当に辛かった。外科医師を支援していく」と発言されました 。

 国民救援会の宇治橋都本部副会長は「無罪の証言・証拠を無視して有罪を前提として取り上げた判決」と述べ、自らの最高裁での闘いの経験に触れながら、「一般の医療行為を犯罪にしてはならない」「無罪のためにやれるべき事をやること」と共に頑張る決意を述べられました。

 足立健康友の会の伊藤会長は「逆転有罪にはびっくりした。安心して住み続けられる地域の地元の活動として無罪を目指して頑張ることにした。高裁判決は非常識で非科学的であり、常任幹事会として抗議する」と無罪を勝ち取るために頑張る決意を発言されました。

 その後、ご親族が心境を語るとともに、仕事で会場に来られなかった乳腺外科医師の手紙「とても問題が多い有罪判決で、私の医師としての診療継続だけでなく、家族との日常生活も奪われようとしています。無罪判決を疑わなかった心境を思い出すと腰が抜けるとはまさにこのことだと思いました。警察、検察ばかりでなく、裁判所までが不当な判断をする。最高裁判所に真っ当な判断をしてもらう必要があります。そのため、直接・間接の力を皆さんからも貰いたいと考えています。何卒よろしくお願い致します」と代読され、会場は多くの拍手で応えました。

 診療後会場にかけつけた東京保険医協会の佐藤医師も「勾留させられた時から支援してきた。術後せん妄の問題であり、証人に専門家でもない人を呼んだところから、最初から有罪と決めつけて証拠づくりをしてきたのではないかと思う。みなさんと弁護団の力でなんとしても無罪を勝ち取るために頑張って欲しい」と発言されました。

 最後に外科医師を守る会事務局から、

   ①最高裁宛の署名を広げること

   ②支援基金への協力

   ③外科医師を守る会入会のお願い

   ④事件や判決の内容をより広範な人達に知ってもらうために、集会の開催や各種集まりで訴えをさせていただきたい。

 と4点の具体的なお願いを提起し、午後8時に閉会しました。当日会場では42名の方から支援基金へ11万4千円のご支援が寄せられました。また、署名用紙もたくさんお持ち帰り頂きました。お忙しい中、集会に参加されたみなさんをはじめ、ご支援、ご協力いただいた多くのみなさんに改めて感謝申し上げます。今後ともよろしくお願い致します。

  最高裁判所宛の署名にご協力を!

 外科医師を守る会では、最高裁宛に「高裁判決を破棄し、無罪にして下さい」の署名に取り組みます。最高裁は、地裁・高裁と違って、原則として法廷が開かれません。それだけに、「法廷外の傍聴人」である署名の数が重要です。「無実の人は無罪に」「この事件に関心がある」という世論を示すことになります。下記署名用紙をダウンロードして頂き、記載の 「外科医師を守る会」宛てに郵送していただくか、PDFファイルで外科医師を守る会メールへ送付をお願いします。

最高裁宛署名用紙PDF → https://gekaimamoru.org/wp-content/uploads/2020/09/85caf648f3d69e5790101d026d9b70e9-1.pdf