12月13日、高裁へ署名提出と要請を行いました

 東京高裁へ差し戻し審の第4次要請行動を9名で行いました。署名5,760筆を提出しました。差し戻し審の署名の総数は2万783筆となりました。

 さらに今回「冤罪白書2022・燐燈出版」と「日本の法科学が科学であるために・現代人文社2021年」の二つの文献を提出しました。

 「冤罪白書」は、冤罪を叫ぶ人の声を裁判所に届けるため出版されました。2019年から毎年発行され今年で4冊目です。本号で、外科医師裁判の弁護団である趙誠峰弁護士によって、上告審の問題点が克明に書かれています。最高裁では、弁護団は科学的証拠の許容性について明らかにするよう要請しました。専門家でない証人の証言を証拠として許容できるのか。再現性・検証可能性を一切残していないDNA定量検査は証拠として認められるのか。ところが最高裁は、これらを自ら判断することなしに、高裁へ差し戻しました。最高裁判決は、検察にチャンスを与え裁判を長引かすものであり、推定無罪の原則に反します。被告の外科医師にとって非人道的です。

 巻末には、水野智幸氏(法政大学教授・元裁判官)によるこの事件の地裁判決・高裁判決の比較検証が載っています。科学的証拠についてのスタンスの違いが結論を分けたと分析しています。(※法科学とは科学捜査研究所・科学警察研究所による科学鑑定をいいます)

参加者からの高裁への要請概要

・9月に弁護士を講師に学習会を行い約50人が参加しました。参加者の多くが、病室で犯行はあり得ないと疑問に感じていました。当時麻酔に使われたプロポフォールは、一般的な麻酔薬ですが、性的幻覚を見やすいと言われています。女性患者の証言が信用できなければ、外科医師は無実です。この事件はもう6年経ちます。裁判所は審理を進めて一日も早く無実の判決を出してほしい。

・外科医師と家族は人生を壊されて、とても苦しんでいます。この事件は麻酔によるせん妄以外の何物でもありません。裁判所にはとにかく審理を尽くして、1日も早く助けてほしい。

・柳原病院には健診でお世話になった。この事件を知って、何としても外科医師本人や家族を苦しみから解放させたい。私にできることはこの事件の酷さを周りに知ってもらうことと、署名に協力してもらう事。一審で無罪が出たのに、新しい証拠が出たわけでもないのに、なぜ有罪になるのか理解できない。

・科捜研は、抽出液を破棄してもガーゼが残っているというが、中央部の灰色の部分を切り取って鑑定につかって、周りの色が変わっていない部分では再鑑定をする意味がない。しかもガーゼは冷凍ではなく室温で保管されている。この事件本質は、わいせつ行為をされたという女性患者の証言が信用されたことが大きい。しかし実際の病室でわいせつ行為は実現可能なのか。カーテンのそばに母親。女性患者から外科医師の下半身は見えない。裁判所は現場検証をするべきです。一方、看護師の証言は病院関係者だから信用できないとは・・・公平に審理をしてほしい。

・麻酔の手術でせん妄が起きるという事をこの事件で知った。自分自身は2度麻酔の手術を受けたことがあるが、最初はとても痛かったが2度目はいつ終わったのか分からないくらい痛みは無かった。年数を経て医学が進歩したのかもしれないけれど、麻酔は怖いと感じた。

・DNA定量の検量線が捨てられたことについて、決まっている濃度のものを測ってその値が出るという証拠が検量線。検量線がなければ測定値を保障するものが無いただの数字でしかない。ところが科捜研の技官は、検量線を捨てたことをについて、何が悪いんですかくらいの態度だった。分析を行っている者として、自分が出す値の根拠を消してしまう行為はあり得ない。

・大勢の眼があっても、わいせつ事件が起きることはあります。それは被害を受けている女性に対して、周囲の関心が向いてないからです。ところがこの事件は違います。同室の斜向かいのベッドの患者は女性患者が気になって覗いていたと証言しています。術後のケアで看護師が頻繁に出入りして、女性患者に注意を払っていました。何か起きればすぐに騒ぎになる状況であることを、医師であれば理解しています。

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